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iDeCoの受け取りは一時金と年金どっちが得?出口戦略の基本


60歳が近づいて残高を見て、ふと固まる人は多いです。「で、これ、どうやって受け取るのが正解なの?」と。積立の入口は情報があふれているのに、出口だけ急に情報が薄くなる。この記事では、一時金・年金・併用の3つの違い、税制上どちらが有利になりやすいか、そして2026年から変わった受け取り時期のルールまでを順に整理します。数字の前提も具体例で示します。

iDeCoの受け取りは一時金と年金どっちが得?出口戦略の基本

ステップ1:選択肢は3つ。まず全体像を押さえる

iDeCoの老齢給付金は、原則60歳から75歳になるまでの間で受け取りを開始します。受け取り方は次の3パターンです。

受け取り方所得の種類使える控除向いているケース
一時金(一括)退職所得退職所得控除加入年数が長く、会社の退職金が少ない/ない人
年金(分割)雑所得公的年金等控除退職所得控除を会社の退職金で使い切る人
併用退職所得+雑所得両方控除枠を分散させて使いたい人

なお、60歳から受け取るには通算加入者等期間が10年以上必要です。50代で始めた人は開始可能年齢が後ろにずれるので、まず自分の「いつから受け取れるか」を運営管理機関の画面で確認してください。ここを勘違いしている人が本当に多いです。

ステップ2:一時金が有利になりやすい理由

一時金は退職所得控除が使えます。控除額はiDeCoの加入年数で決まります。

ステップ2:一時金が有利になりやすい理由

加入年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 加入年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(加入年数 − 20年)

たとえば加入30年なら、800万円+70万円×10年=1500万円。残高が1500万円以下なら課税所得はゼロです。控除を超えても、超えた分の2分の1にしか課税されず、他の所得と分離して計算されます。この枠の大きさが、一時金がまず検討されやすい理由です。

ステップ3:2026年から変わった「10年ルール」

ここが今いちばん注意すべき点です。iDeCoの一時金を先に受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、両者の控除の重複を調整するルールがあります。従来は前年以前4年内(いわゆる5年ルール)でしたが、2026年1月1日以後に支払を受ける一時金から、前年以前9年内へと延長されました。これが10年ルールです。

つまり「60歳でiDeCoを一時金、65歳で退職金」という定番だった段取りは、以前ほど有利ではなくなりました。逆に、会社の退職金を先に受け取ってからiDeCoを一時金で受け取る場合は、従来どおり19年の期間で判定されます。判定は退職した日ではなく支払を受けるべき日が基準です。細かい適用関係は個別事情で変わるため、最新の取り扱いを国税庁や運営管理機関の資料で確認してください。

率直に言うと、自営業やフリーランスで会社の退職金がない人は、このルールで悩む必要はほぼありません。重複する退職金がそもそも存在しないからです。

ステップ4:年金受取と併用の考え方

年金で受け取ると雑所得になり、公的年金等控除の対象です。65歳以上で年金収入が一定額未満なら控除額は最低110万円(受給者の合計所得金額が1000万円以下の場合)。ただし公的年金と合算されるため、繰下げした厚生年金と重なると一気に課税所得が膨らみます。

ステップ4:年金受取と併用の考え方

地味に効くのが2つ。ひとつは給付のたびにかかる事務手数料で、多くの金融機関で1回440円です。年6回を20年続ければ120回、5万円超になります。もうひとつは社会保険料。雑所得が増えると国民健康保険料や介護保険料に跳ね返ります。所得税だけ見て判断すると、ここで足をすくわれます。

現実的な着地は併用です。退職所得控除で吸収できる分だけ一時金で受け取り、残りを公的年金の受給が始まる前の期間に年金で取り崩す。受取期間は5年以上20年以下で選べるのが一般的ですが、対応年数や回数は金融機関ごとに違います。

見落としやすい注意点

  • 会社の退職金の支給予定時期を人事に確認していない。順序と年の判断ができません。
  • 75歳になるまでに請求しないと、給付が止まったまま手続きが煩雑になります。
  • 受け取り開始まで運用は続きます。60歳直前に株式100%のままにしておくと、受取額が相場次第で揺れます。
  • 手続きには裁定請求書のほか本人確認書類やマイナンバーが必要で、書類到着から入金まで1〜2か月程度かかるのが通常です。

よくある質問(FAQ)

Q. 一時金と年金は併用できますか?

A. 多くの運営管理機関で併用が可能です。ただし取り扱いの有無や分割の比率、受取回数の選択肢は機関ごとに異なるため、事前に自分の口座で選べるパターンを確認してください。

Q. 受け取りを75歳まで遅らせると得ですか?

A. その間も非課税で運用を続けられる点は利点ですが、公的年金と受給時期が重なって課税所得が増えたり、口座管理手数料がかかり続けたりします。税・手数料・生活費の3点で比べて判断するのが現実的です。

Q. 会社の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取るとどうなりますか?

A. 退職所得控除は合算して調整され、勤続年数と加入年数の重複部分は二重に使えません。控除枠を超えやすくなるため、受け取る年をずらせるかどうかを先に検討する価値があります。

まとめ

退職金の有無と受け取る年の順序を先に確定させ、退職所得控除で吸収できる範囲を一時金、残りを年金に回すのが、出口戦略の基本形です。